【感想】『全滅領域』『監視機構』『世界受容』(サザーン・リーチ) ジェフ・ヴァンダミア 酒井昭伸 訳

サザーン・リーチ (全3巻) Kindle版 (amazon.co.jp)

 良い小説だ……。

 神ゲー『CONTROL』が影響を受けているという話(たとえばこの記事)を聞いて読みました。確かに人物造形とか空気感で影響を受けている部分がかなりあるんだろうなと思いつつ、「CONTROLが影響受けてる」と聞いて想像した内容とは全く別物で、逆にCONTROLのゲームとしての組み立てはすごいなと思った。というか直球的なものはControlという単語(意味は全然違う)、局長Directorという役職(位置づけは全然違う)、あとはサザーン・リーチの局舎(どこでも入れる清掃員っていうので笑ったけど)あたりに見いだせなくもないという程度で、むしろそれで結びつけるのはこじつけ感があって、前述のインタビューで明言されてなかったら言うほど繋がり無いでしょと思ったかもしれないくらい。インスパイヤですとか言って直球に意匠をパクってしまう自分をめちゃめちゃ反省した。

 ともかく不穏で、良く意味は分からないのだけれど、大自然、不穏な描写、狂気、でもその感情……説明できないな。なんかよく分からないけれどすごいし良い小説。全滅領域はなんだこれどうなるんだという導入、監視機構はともかくコントロールがもがく感じが良くて、生物学者が良くて、世界受容はコントロールとゴーストバードの互いの視線が良くて、灯台守とグロリアが良くて、グレイスもめちゃ良くて、まあ全部良かった。あとこれドッペルゲンガー百合小説だよな。おすすめです。

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