文学フリマ東京37で入手。ブラッドベリのオマージュ作である表題作(短めの長編サイズ)がメインで、ほか掌編小説を収録。
「塵よりよみがえり」の一族をオマージュした不死の一族の断章で、ブラッドベリが作中で宇宙の孤独と似ているとした10月の先の11月、たそがれの先のとばりを書いた作品。「みずうみ」は数年前に読み直したものの、ほかのオマージュ元たちは読んでいないか読んだはずだけど記憶の彼方なので、そこがもったいないし読んで大丈夫なのか、と思いつつ読んだ。本当に大丈夫だったのかどうかは知る方法がないのだが、ともかく楽しめた。孤独で美しく懐かしい描写と断片的なシーンを積み重ねていくうち、やがて物語の舞台がととのっており、結末へ向けて気づいたら加速している構成がとても上手い。不死の一族やジャーヴィスの設定とSF要素の接続にはしてやられた感じがする。終盤の四者がそれぞれすごく良かった。