【感想】『無人の街と群衆の人』阪井マチ

「無人の街と群衆の人」(紐々書房 / 文学フリマ東京37 き-33) - 文学フリマWebカタログ+エントリー
文学フリマ東京37(2023/11/11(土) 12:00〜)【紐々書房】のアイテム「無人の街と群衆の人」をチェックしてみよう!

 文学フリマ東京37にて入手。怪奇小説三編を収録。

「無人の街と群衆の人」は、感染症が広がり人通りが途絶えた街が舞台で、主人公が病室の窓から街を見ていると、なぜかずっと歩き続けている老人に気づく。変な話で、最後までどこへ行くのかわからなくて面白かった。「天狗のはなし」は、かつて天狗に誘拐されたことがあるという同僚の話を聞くという内容で、二人の会話の録音の体裁を取っている。咄嗟に録音しているので会話が途中から始まったり、なぜか時系列もシャッフルされている中で、天狗というのがどうも我々が一般的にイメージするあの天狗とはちょっと違いそうで、この同僚の話の内容のどこか病的な支離滅裂さも相まって、なんだか読んでいてこちらの具合が悪くなるような話(良い意味で)。「交換カートリッジ」は、主人公がある「交換カートリッジ」にならないかとオファーを受ける話。何のカートリッジなのかあえて書かないけど、ぶっとんだ内容で笑えばいいのか怖がればいいのかわからない、怪奇な読み味になっていてとても良かった。

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