【感想】『川 川 川 巨大健造 川小説トリロジー』巨大健造

 闇ルートで入手。川で繋がる三編の短編小説。

「乗らない電車」は、川に住まう人魚と、有史以前から運行する列車が街にやってくることを予感する者たちの話。それぞれのいいところをもつ者たちのコミカルな動きが楽しい(目がいいから避けられるの好き)。川に棲んでいるとどのみち電車には乗れなさそう。短くまとまっていていいと思う。

「第三の岸辺」は大陸を統べる多頭精霊の弟子のひとりが川の査察に訪れ、橋のたもとにうずくまる痩せた男を尋問する。河川調査に来ている主人公(?)は彼人で受けられている。制服・制帽で臙脂色の手袋に箒を持っていて、冒頭部の描写では箒は気に入っているというわけではなさそうな割に、結構このアイテムを活用しているあたりが良い。背伸びしている感じとか、男との奇妙な連帯感が生まれるのも良かった

「窓の時代」は不思議な話で、あまりあらすじみたいなものは書けない。初出の『圏外通信 2021 裏』にて既読。やっぱりかっこよくて、最初の方で松屋出てくるとこでやっぱり笑ってしまった(前回読んだ時もそこで笑ったのを思い出した)。

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