【感想】『三体』劉慈欣 大森望、光吉さくら、ワン・チャイ 訳 立原透耶 監修

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 三年積んであった。正月しか読めないと思ったので読んだ。とても良かった。

 文化大革命に物理学者の父親を奪われた科学者・葉文潔は、深い失意のなかで巨大パラボラアンテナを有する謎の軍事基地での任務に就く。それから四十年あまり後、ナノテク素材の研究者・汪淼は世界的科学者が次々と自殺していることを知らされる。その背後にいると思われる謎の組織と接触した後に汪淼の身を襲ったのは、彼の科学への信仰を揺さぶる怪奇現象だった。

 いやー、スケールがデカい。単に異星文明とのコンタクトモノとしてのスケールの大きさというだけでなく、葉文潔の過去パートがあることによる読み味の広がりがすごい。人類への絶望と彼女の行動に説得力を持たせるパートとしての機能も切れ味がある。その上で、VR『三体』の演出的な良さや(良すぎるでしょ)、史強のような良キャラクターがひっぱるエンタメ力も半端ない。わかっててサボっていたけど、確かにこれは大ベストセラーだなぁという風格があった。

 翻訳も色々と工夫されていたし、きっととても高いクオリティになっているであろうと思われた(あとがきから想像)のもいいことだと思った(でも一点だけ、汪淼は「リア充」とか言わないイメージがあった、原文の時点でそういうちょっとズレた?単語選びなのかな)

 しかしこの一巻を読むだけで正月が終わってしまった。でもここで終わられたら続刊を読まないというわけにもいかないな……。

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