【感想】『勇者は懼れず、推理をしない』ソルト佐藤

 文学フリマ東京37にて入手

 叙事詩『ベーオウルフ』のグレンデル討伐譚を下敷きに、本格ミステリに大切なものを削っていくオッカムの剃刀シリーズとして、登場人物が全員脳筋、推理をしない推理小説として書かれた作品。

 いや意外と推理してないか!?と思った。モブ戦士たちが推理を軽視しているのはそうだけど(この疎外感みたいなところいいね)、主人公以外にも真犯人とか結構知略めぐらせとるやんけ! でもファンタジー的雰囲気の中でロジックを成立させるための理屈作りに迷いがないところが良くて好き。緑色の皮膚強すぎたり爪強すぎたりするところとか。そのあたり、オチも含めて原典のアレンジが上手かった。ブラジリアン柔術はすごい。あとなんで『アレ』呼びなのかわからなかったです(流行語大賞と絡めたアクロバティックなオチがあるのか?と謎の警戒をしてしまった)

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