【感想】『Græy Psycho – グレイサイコ – 』眞崎十一

 第34回文学フリマ東京にて入手。それって一年半前だ……積んでいてすみませんでした。現在BOOTH通販をされているようです。

 人間に非常に近いアンドロイド的な存在「リイド」が普及した未来、感情を持たないとされるリイドを専門に扱う精神科医と、突然感情(らしきもの)が芽生え混乱する元娼婦のリイドを主人公に、リイドという存在の秘密に迫っていく。

 がっつりと長編の長さがあり、書き込みも非常に細かい。練られた設定語りがすごいなと思ったら、実は単なる設定語りではなく重要な伏線として回収されたりする。これは上手いなと思いました。「リイド」周りの大枠の設定や明らかになる背景自体は結構先行作品が多いジャンルだと思うので真新しさはあまり感じないのですが、書き込みの丁寧さで最後まで読ませる牽引力がすごい。積み上げがあってからのラストの二人の流れがめちゃくちゃ説得力もあってハッピーエンドというか妥当な帰結でよかったし、その上で一番最後のシーンのおいおいおいおいおいおいっていう良さがすごいですね(ネタバレを避けて意味不明になっている)。シムカもよかった!

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