【感想】『言語省』池田笠井闘志

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 文学フリマ東京35にて入手。

 あまり作者の属性に注目しないようにはしているのですが、Webカタログに高校生であることが明記されていたので、ある程度の長さの小説を書ききって発表するにしても、文学フリマに出店するにしても、いずれも高校生でそれができるのはさすがにすごいことだなと思い興味を持ちました。

 本作は現代および少しだけ未来の日本が舞台でありながら、「言語省」という行政機関が存在し、それが日本語の正書法(史実の現代仮名遣いとかを超える内容)を定めたり、官製国語辞典を作ったり、公文書をチェックして正書法に従っていない箇所を直し官製国語辞典に載っていない語句を言い換えるといったことをしている世界。物語は、言語省を退職した主人公が自身の生い立ちから言語省に入り退職するまでを懐古する形で語られる。この自伝的な語り口に不思議なリアリティがあり、実際そのあたりのブログなどに書いてあっても馴染みそうな文体と内容で、しかしその中に言語省というフィクションが織り込まれていくのが没入感が高く、とても良かった。設定と結末は『一九八四年』を強くリスペクトしていると思うけれど、現代日本の感覚の続きにニュースピーク的なものを顕現させているのは作者の問題意識が見えて面白いと思った。

 なお、本作は作者Webサイトでも公開されているようです。

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