【感想】”Rabbit Test” by Samantha Mills

Rabbit Test - Uncanny Magazine
Content Note: Sexual Assault, abuse, traumatic miscarriage, psych ward treatment, and suicide.   It is 2091, and Grace is staring at the rabbit in the corner of...

 Must Readであるとする感想を目にして読んだ。すごい。確かに、アメリカにおいて、いまこのタイミングでまちがいなくMust Readなのだと思う。本作は今月1日にUncanny Magazine Issue Forty-Nineで発売され、同日オンライン公開。Podcastも非常に良かった。

 タイトルのRabbit Testは雌のウサギに女性の尿を注射し、数日後に解剖して卵巣が肥大化しているかどうかを確認する、1931年のアメリカで発明された妊娠検査法。女性が妊娠したことの婉曲表現rabbit diedの語源だが、実際には結果を見るために解剖する以上、検査結果にかかわらずウサギは必ず死ぬ。本作のメインの物語は2091年、17歳の主人公GraceがRabit Testを恐れているシーンから始まる。2091年のRabit testは本物のウサギを使っていたかつてのものとは違って、埋め込まれた医療チップが自動的に妊娠検査をするというもので、その通知のアイコンにはウサギが使われている。主人公は、検査の結果が自動的に両親と医師に通知されてしまうことを恐れていた。

 Graceの物語の合間に、Rabbit Testをはじめとする妊娠検査と中絶の歴史が紹介される。さらに、歴史の様々な時点での、正しい知識と選択肢を得ることができなかった女性たちの姿が書き込まれる。この重層構造を通して、2022年の現状への怒りが伝わってくる。政治的な主張を明確に込めた作品であると同時に、作品自体一つ一つの物語に対して誠実で、それだけに強い思いを伝えてくる小説だと感じた。

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