今年もやります。
- Twitterのフォロイー(フォロワーではない)の第四回百合文芸小説コンテスト応募作品を読み、簡単な感想を書きます。
- ただし、複数作投稿している方の作品は一つ選んで書きます。
- あるのかわからないけど、長編の場合は読み切れないかもしれないのでそのときはすみません。
- 全部とか言ってますが人力で探しているので見つけられてなかったらそのときもすみません。
- 結論として全然全部じゃない可能性がある。ゆるして。
『ピンクの象を考えない』 不璽王
- 死に戻り系小説(?)
- すぐ死んでループして話が続く、そのループをハックして奇想が広がっていく。
- 色々小ネタのオマージュがあるが、勝手ながら自分は『〔少女庭国〕』の系統の味を屋台骨に感じた。
- 基本的にセリフ語りだけで進行させていながらにして、異常に慣れてしまう感じとか妄執みたいなものの表出が上手く書けていると思った。
- ただ自分の評価の傾向として、暗い/ネガティブ/救いがない話に対してはハードルをかなり上げてしまうタイプであり、その意味ではもう一ひねり欲しい。
『綺麗なものを閉じ込めて、あの湖に沈めたの』 ななめの
- 便宜的にpixivの名前を名義として扱って表記しました。
- 死体埋め系ミステリ百合。
- こちらで一応感想というかコメントしていましたがあれはネタバレなし縛りだったので加えて補足するならば(でもミステリ作品である以上やっぱり核心のネタバレは書きたくないので書かない)、死体を埋める百合というテンプレート(?)を、猫の死体を埋めるちょっと謎めいたヒロインというもう少し古いテンプレート(?)で反転させ、フードデリバリーのバッグという今風の小物も上手く使うアイデアがまず勝っている。
- 死体を埋める百合は犯罪を隠す共犯者になるということなんだけど猫の死体を埋めるのは弔ってあげるということであって違う色を帯びる、というところに親にちゃんと言わずに夜に出歩いて徘徊という状況が加わるから結局ライトに共犯者感も出てきて、という、よふかし百合のテーマにめちゃめちゃクリティカル入れてる。
- 心情描写に芯が通っており丁寧なので、歩きながら二人が会話してるだけの絵とかでもだらけないのが良い。
『上を向いて歩こう』 鳴原あきら
- 日常の謎系のジュブナイルミステリ百合。
- ああ、百合はそこなんだ、という趣向があった。良い小技。
- 最後のシーンにおける重ね合わせ、構図の作り方の上手さとともに〆の苦味が綺麗。こういうの好き。
- ミステリ的には、全部聞き込みでわかりましたっていうのはちょっとスムーズにことが運びすぎに感じた。
『新井さん、散歩をする』 そんちょう
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- 本作もこちらで一応感想を書きましたが完全にあそこに書いた通りで、ズバリ「不穏」なんですよね。ニューロティック百合ホラー。
- 3の後半からの展開、加速感があって嬉しい。トイレのとこの構図作りが良すぎる。
- 最後のシーンの数行のやりとりがめちゃくちゃ好き。なんなんだこれは。
『君とサ終で分かたれて』 彼岸堂
- ここで書かれているようなスマホゲームやらないので実感は伴ってないものの、それでもこのゲームそのものの描写とそこに向けられたプレイヤーからの愛着みたいなものの質感、すごい。筆力を感じる。
- ストーリーとしては何か途中でツイスト的なものがあるのかと期待して読み進めてしまったので、ちょっと物足りなかった。
- このなんというか直球具合(?)が「百合文芸小説コンテスト」という文脈に投げ込まれることで、ゲームのキャラクターとプレイヤーとの関係性に関して色々考えさせられてしまう力があると思った(深読みしすぎか?)
続く!