何しろ夜が明けるだけで4ページほどかかったりするのでかなり読みにくいのですが、しかし何年かぶりにもう一度読んでみると最高案件であると言わざるをえない部分もあり、おすすめです。通底するのは子供の視線、太陽の反射、原野の上を飛ぶジェット機。比較的読みやすく自分がいちばん好きなのは「リュラビー」という話でこれはリュラビーという女の子が学校にいくのをやめる話です。もう一つすごいのが「牧童たち」という話でこれは牧童たちが出てきます。さすがにその説明はひどい。この本で登場する子どもたちは皆、透明感にあふれています。川本三郎の解説にも書いてあるけれど、リュラビーやガスパールは本当に透明な存在にはならず、あるいはなれず、最後にはこちらの世界に帰ってきてしまうので、その寂しさがまた好きなのかもしれません。