【感想】『知らない本の見つけ方—雑談・検索・選書』「作家の手帖」編集部

 文学フリマ東京38にて入手

「雑談」「検索」「選書」をキーワードとする三本の記事を収録。なかでも「検索」にあたる「「自分ひとりの部屋」からはじめる文献調査」(小澤みゆき)がとても面白かった。ヴァージニア・ウルフを日本で最初に翻訳したとされる葛川篤について、筆者が実際に行った文献調査の内容を辿りつつ、調査方法やその参考図書を紹介している。知的好奇心を大いに刺激される。研究機関に所属していない個人という立場にもここまでの内容が開かれているというのはデジタルやインターネットはすごいと思う(自分も、別にそんな調査というほどのことはしないまでも、デジコレや、本稿は日本の話なので言及されてないけどInternet Archiveとか、使う度に感動する。官報から手がかりが見つかる流れとか身に覚えがあってよかった)。言及されているレファレンス事例もすごくて、これを単体でWebで読むだけでもすごいことが行われていることはわかるのだが(プロの仕事だ)、その前後に筆者が行った調査と合わせて読むとパズルの道筋のようでより面白い。

タイトルとURLをコピーしました