Amazon.co.jp: 虚構推理短編集 岩永琴子の密室 (講談社タイガ) 電子書籍: 城平京, 片瀬茶柴: Kindleストア
密室系短篇集。理屈さえ通れば良い無茶な理屈を物語構造上必然にしているのがいつもながらよい。
殺人を自殺に見せかけるために密室状況を作ったのを勝手に扉を開けたりして密室を崩してしまい、あとから犯人が狼狽えるのを見て笑う行為が妖たちの間で流行るという前提があって（なんだよその前提は）それで発生してしまった不可解な状況に説明を付ける「かくてあらかじめ失われ……」がよかった。「妖怪密室ひらき」のコンセプトが強すぎる。
落語家の幽霊によって語られる血まみれのパイロンに祟られる男の話「怪談・血まみれパイロン」もよかった。祟られた男が霊の存在を信じない代わりに全部狸が化けているものと決めてバカにしている、という状況に無理があるけど、それを所与とした上で展開した企みとそれを人情噺化してしまうテクニカルさ。
