【感想】『恐怖箱 魔炎』雨宮淳司

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 実話怪談。というのは普段読まないフォーマットなのですが、見聞を広めるかと読んだところ、結構面白かった。ものすごく怖いというよりは、ちょっと怖い、気味が悪いという中にノスタルジックな味わいがあり(どうもそれはこの作者の持ち味らしい)、良かった。

 少年が友達と心霊(?)を観察しその根源を突き止める「銀の紐」は少しジュブナイル風味、冒険ものっぽいところがあり、幽霊から伸びる「シルバーコード」の設定もちょっとSFっぽかったりして、解決もある程度ロジカルなのが気持ちよく読めて面白かった。そこから打って変わって、荒神箒と地蔵にまつわる怪談の「罰」は説明がつかず得体の知れない怖さのある作品で良かった。ホラーとしてはこの系統の方が自分は好き。けれど全くの意味不明とかではなくて、沙織さんの夫の件もそういうことなのかとか、色々考えさせられる手がかりがちりばめてあるのがニクい。

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