【感想】『パズル崩壊 WHODUNIT SURVIVAL 1992-95』法月綸太郎

Amazon.co.jp: パズル崩壊 WHODUNIT SURVIVAL 1992‐95 (角川文庫) 電子書籍: 法月 綸太郎: Kindleストア

 先日ロス・マクドナルドトリビュートアンソロジー『黒い背表紙の探偵』をロス・マクドナルド読んでないのに読んだら、ロスマクはいいとして法月綸太郎は読みましょうという情報が寄せられたため(いやロスマクもよくはないんじゃないか)、読んだ。良かった。

 ロス・マクドナルド関連ということでいうと「ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?」がロスマクvsディックの世紀の対決を描いた(描いていない)作品で、強烈すぎるオチで良い意味の「は?」が出た。その次に収録されている「カット・アウト」がまたすごく、ジャクソン・ポロックの実在作品を下敷きに前衛芸術家の奇行とその真意に迫る……という意味ではかなり広義にとったときのミステリというか(謎があって答えがある)だけれども、芸術小説として、あるいは青春小説としても濃密な筆致で圧倒された。素晴らしい。「トランスミッション」の村上春樹っぽい主人公がどんどん巻き込まれていく感じや(名刺のとこ笑った)、「懐中電灯」のどんなに客観的にしょうもなくても本人に筋が通っててロジックが成立する作りも好きだった。

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