【感想】『行き場をなくした物語』鳥原継接

 文学フリマ東京35にて入手。表紙がStable Diffusionらしい。文フリで何冊かAI活用した表紙みかけたけど、これは効果的な使い方だと思った(組み合わせの異質さみたいな絵を描かせるのはAI得意そう)。

 その表紙とも繋がる「宇宙飛行士の浜」が収録三作で一番良かった。打ち上げられる宇宙飛行士を収穫する漁村に暮らす中学生が主人公。というアイデアの絵面で既に結構面白い(実際それが表紙で映えている)のだけれど、そこに宇宙飛行士の加工や出荷(グロテスクさとナンセンスぶりとSFらしき設定のバランスが絶妙だ)、落下病の設定(宇宙とかいいつつこの病気は魔術っぽいのが良い)、友人たちとの関係、両親との関係が重なり合ってきて、かなり濃い話になっている。この世界の仕組みはよくわからないままだけれど、わからなさも含めてラストシーンの青春感に説得力があった(鮎川めっちゃいい。好き)。

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