【感想】『イン・ザ・ペニー・アーケード』 スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸 訳

 冒頭の中編「アウグスト・エッシェンブルク」、ものすごく良い。単純に情熱と蹉跌の繰り返しの話として読ませる力があるのと、ミルハウザーをつづけて読んだのでメタ読み的にも楽しい。時系列としては「幻影師アイゼンハイム」や「新自動人形劇場」よりも前に書かれたと言うことで、最初こういう作品を書いていて、そのあとああなったという流れを想像するとかなり楽しくなってしまった。ここから削ぎ落としていったらああなるのかな、とか。表題作の「イン・ザ・ペニー・アーケード」も良かった。”子供の憧れ路線”(勝手にラベリングしたけど、もちろん”巨匠のエスカレーション”と対をなす)の綺麗な作品だと思った。

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