『フォゲミノ・フォゲミナ あるいは愛すべき嘘吐きのための6つの小品』 たけぞう

 第三十四回文学フリマ東京にて入手

 嘘を共通項にまとめた短編集。上記ツイートを引用させていただきましたが、トレーシングペーパーにホワイト印刷のカバーがめちゃくちゃかっこいいです。

 各作品で「嘘」が扱われているが、初出がアンソロジーへの寄稿作中心であることからして必ずしも最初から意識して書いたわけではないのだろうと想像。けれど結果的に再録短編集がこうして一本テーマが通るということは、どこまで最初から意識的だったかはともかく作者の根元にあるような題材なんだろうかと思う。それが「嘘」というのは好きですね。

 全体を通じて主人公の懊悩やそれを映す(?)美しい描写が巧みで良いと思った。その美点を感じると共に、題材や構成が特に好みだったのが『嘘と詭弁と真実の唄』。怪異現象としての『嘘』が登場する伝奇風の作品で、多くは語られないものの怪異『嘘』なりのロジックやシステムの存在が好き。伝奇っぽくありながら遠未来ポストアポカリプス世界であることが言及されているのも良い。また、怪異つながりで言うと『妖世のパラダイム』も好きな状況設定だった。目の数が多かったり少なかったりするの好きだし、人間が理解できない存在というのが好きなので。世界を怪異で解釈するか科学で解釈するかみたいな二項も好みなので美味しい。最後にその構造に答えが出たような出ていないような。良くも悪くももう少し先まで読みたい!という気持ちがあった。また、この短編集の中ではポップ枠と思われる『カマガワ・リバーサイド・コンフィデンス』の一点突破していくネタも楽しくて好みだった。これ地元の人は数倍楽しく読めるんだろうなぁと思うと悔しくすらある。

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