第三十二回文学フリマ東京の新刊。BOOTHにて入手。今この記事を書くときに見たら残り1点ってなってた。急げ。(BOOTHってなんか残り1になったら急に表示するよね? 謎仕様だよな)
全体的に良かったのですが、特に特に『シトラスの隠れ香』と『フォーワン』がめちゃめちゃ良く、めちゃめちゃ良い……となってしまいました。日曜の夜の虚無を忘れさせてくれる、明日からも圧倒的に成長しようという勇気をもらいました。
『フリシュア!』元壱路
マジでどこに向かってるのか分からない超特急だった。いやこれどうするんだよっていう、シュールで理不尽で好き。
『機械仕掛けのジャンボ』零F
ちりばめられたパーツの雰囲気が良いですね。双頭少女が好き。鍵の使い方とか、警官の武装とかもSF感と時代感を上手く混ぜてて良かった。
『希望の光は真っ直ぐ飛ぶか』架旗透
VR技術展示会で光と闇の戦いが始まる(?)という現代的題材で、でもVRとかにちょっと奇想を混ぜていくくらいは割と誰でもやるところ、本作の混ぜ方は(あまり直球のネタバレをしたくないので書かないけど)独自色があってよかった。配置されたキャラクターたちもなかなか癖がある。
『シトラスの隠れ香』ところてん
これは自分としては本書ナンバーワンの作品でした。仕事に打ち込む主人公と天才インフルエンサー高校生、双方の情熱と強さと弱さ(弱さがポイントだ……)。お仕事百合小説! 香水の詳細な設定というか現実の情報とこのVR香水の設定の重ね方から活かし方も見事すぎて興奮してしまった。本当に良かったです。
『フォーワン』髙座創
魂を打ち込んで書いたことが明らかに分かってしまうタイプの熱を感じる小説。めちゃめちゃ熱い。忘れていた青春ジュブナイル的な回路が呼び覚まされてしまうし、でも大人の読者としての読み方もできて、ともかく熱くなれる。表題作に相応しい最高の小説だし表紙イラストも最高。