2020年に読んだ小説(2020年に読んだ、であり、発表年を問わない)ベストを決める企画です。本日時点までに読んで面白かった小説からの以下のノミネート作品、さらにあるかどうか分からないが年内に追加で読んで面白かったものを加えた中から最終選考を行い、大晦日に結果を発表しますが、大晦日の酒の入り具合によっては忘れてそのまま年を越します。
振り返ると今年は読書量がめちゃめちゃ少なかった。生活が忙しかったのと、通勤時間の読書が消えたからですね。コロナ許せねえ。通勤時間が減ったのは神。来年はもっと読んでいくぞ。
『その日、朱音は空を飛んだ』 武田綾乃
学校の屋上から飛び降りたクラスメイトの死をめぐり、クラスメイトたちの証言と思惑が錯綜する青春ミステリー。小説というのは基本的には気持ちを、感情を描くもののはず。いやそうではないという主張を持っている人もいるだろうけれど自分はこう考えていて(お前の書いてる小説そうなってるか?とか言わないでくれ)、その点、この作品は2020年ベストオブ感情だった。導入や序盤はそのすごさが見えにくいところがあるんだけど、後半で絶対良くなるから、ともかく絶対に読んで欲しい。
『首無の如き祟るもの』 三津田信三
ミステリとホラーの境界線を攻める刀城言耶シリーズの第三作。一作目二作目を読んでなくても大丈夫だとは思うけど一応一作目から読んだ方が良い。因習の村に根付く首無という怪異と、首無し死体という本格ミステリの型のマリアージュ。単にオープンエンドっぽくしてミステリかホラーか分からなくさせるというのではなくて、オチの付け方の跳躍感も圧倒的で、そうきたか、と高まってしまうぞ。
『まほり』 高田大介
二重丸が書かれた紙が至る所に貼られているという都市伝説から始まり、「まほり」の因習の謎に迫っていく民俗学ミステリ。膨大なテキスト量、探るにつれ不穏さの高まっていく謎の集落、そのプロットの中に光るキャラクターの魅力、そしてラストのぐっとくる収斂、こういうのが読みたかったんだよの連続。読むべき。