第三十一回文学フリマ東京にて入手。吸血鬼モノのキーワードで目につき、『児童書を装った対独プロパガンダ小冊子をイメージして書いた小説』という珍妙な設定で購入に至りました。読んでみると、実際に童話テイストの構成と語り口だがプロパガンダ感がすごい! でも露骨すぎないというか、童話作家がでも検閲下で発行できるように書きましたみたいなテイストを自分は読み取りました(??)。吸血鬼は、現代エンタメにおける典型的なあの吸血鬼ではないし、また作中の設定として実際にそういうものがいるのかどうかも明確にはなっていないものの、それが逆に”らしい”というか、別にドイツでは無いけど大陸側にいるというのが吸血鬼の歴史的にもそれっぽいのかも知れない。十字架で退治するし。そういう深読みをテキストの上に誘発させる面白い試みだと思った。