地上が汚染され人類は地下都市で暮らしている時代という設定の中で書かれた多彩な短編集。一作目の『あるいはそれよりも鮮やかな』がめちゃめちゃ好き。短編作品でこの世界観とキャラのディテールの書き込みはすごい。赤くて光まくってる防護服っていうのがすでに強いんだけどそれを最後まで使い切るのが好き。他の作品とも話題や作風は違うんだけど設定を共有しているというのがよくて、一冊として楽しくまとまっていた。地下世界の話が続いてちょっと地下の鬱屈みたいなのに慣れたあとで『かげろうが消えた夏』の夢の感じが入ってくるのとかすごく良いと思う。表題作『天体観測』を読み終えた後に表紙がやたらキラキラしてるのに戻るとエモい。