新潮文庫

01_読感

【感想】『満願』 米澤穂信

 このいやな感じが最高すぎる。なんかいやな感じするよなーああーーーっていう伏線回収の仕方。どの作品も完成度が高すぎてむしろ引きながら読んでたけど、特に好きだったのは「万灯」と「満願」。「万灯」は商社マンやバングラデシュの諸々のディテールの掘...
01_読感

【感想】『ジム・スマイリーの跳び蛙: マーク・トウェイン傑作選』 Mark Twain 柴田元幸 訳

 何かの資料として必要だったので買ってその部分読んで、結局資料としては必要なくなったので積んであったが、せっかくなので他の話も読んだ。 基本与太話方面なのに唐突にシリアスなやつが入ってくるのずるすぎるでしょ。 『ワシントン将軍の黒人従者――...
01_読感

【感想】『北の海』 井上靖

 突然これを、しかも一応三部作の第三部であるのにいきなり読んだのには深いわけがあり、いや特に無いが、面白かった。別にこれから読んでも問題ないと思います。誰向けの情報? というか新聞小説なんて途中から読む人だってたくさんいたのだろうから(きっ...
01_読感

【感想】『フラニーとゾーイー』 J.D.Salinger 野崎孝訳

 なんか前に読んでるはずだけど余り覚えていなかったので再読。途中で思い出したけど前に読んだっていうのは学生の頃に原書で読んで英語難しくてわかってなかったからであろうことに気づいた。ということは再読とは言えないのでは。 回復の話。最終盤のカタ...
01_読感

【感想】『東京奇譚集』 村上春樹

 村上春樹的短編小説として非常にクオリティが高いのが「ハナレイ・ベイ」。なんといってもこの最後の一段落、一文、というか一単語。こんなのずるいだろう。クソ村上春樹感がほとばしっている。真面目に説明すればこれは英語的なリズムで終わっているところ...
01_読感

【感想】『ナイン・ストーリーズ』 J.D.Salinger 野崎孝訳

 正直話が難しいし翻訳がきつくて読むのが難しかった。こういう文章を読む気力が無くなってしまったのだろうか(昔は読めた気がする。野崎孝訳の作品はいくつか読んだはずだ)。だって登場人物が「チキショウメ」とか言ってるんですよ。チキショウメはないだ...
01_読感

【感想】『パプリカ』 筒井康隆

 あーそうそうこういう感じこういう感じ、という感じだった。意味がわからん。 アニメ映画の方を見てすごく面白かった記憶があるけれど、あれの原作を想像してかつそれを筒井康隆が書いているとするとどういう感じに書かれているのか、というイメージに対し...
01_読感

【感想】『「鉄学」概論―車窓から眺める日本近現代史』 原武史

御召列車の章と都電の章がとても面白かった。都電の章では、原先生が学生に「江戸城がどこにあるか知っているか」「皇居前広場に行ったことがあるか」と問いかける話があった。なるほど自分の脳内のイメージ地図では、霞ヶ関と日比谷の駅は直線で結ばれている...
01_読感

【感想】『卍』 谷崎潤一郎

やっぱり谷崎の音に対するこだわりは恐ろしいほどだと思う。全編が関西弁で回想の形式で語られる。つまり地の文が関西弁。もちろん登場人物も皆関西弁で喋るから、途中何ヶ所かだけ入る注釈以外は全て関西弁ということになる。内容としては同性愛を扱っている...
01_読感

【感想】『蜘蛛の糸・杜子春』 芥川龍之介

文庫を3冊買ったら割引だったから、3冊にするために購入。限定カバーに釣られた(上の画像は限定カバーじゃない)。中身は読んだことある作品が多かったけど、初めてのもあった。年少向けの作品を集めた、と書いてある。蜘蛛の糸やっぱり童話的な完成度高い...