01_読感

【感想】『政治のリアリティと社会心理―平成小泉政治のダイナミックス』 池田謙一

タイトルだとはっきり言って何の本か分からないとおもうので出版社の宣伝をコピペすると、本シリーズの基礎をなすJESⅢパネル調査は,九波に及ぶそれで,21世紀初頭,小泉政権期をほぼカヴァーし,1976年JABISS調査から数えても30年の歴史と...
01_読感

【感想】『ABC<阿部和重初期作品集>』 阿部和重

Amazon.co.jp: ABC<阿部和重初期作品集> (講談社文庫) 電子書籍: 阿部和重: Kindleストア表題作(?)の『ABC戦争』がともかく面白かった。もはやストーリーの中身なんてどうでも良くなるくらい語ることが重要な小説だっ...
01_読感

【感想】『催眠術の日本近代』 一柳廣孝

なんて怪しげな本なんだ、と思って手にとって読んでみたら、とんでもなく予想を裏切る方向に面白かった。催眠術に主眼を置いた、日本近代の文化史。西洋から催眠術が日本に入ってきたとき、それは動物電気だとかなんだとか言われ、近い時期に入ってきた科学技...
01_読感

【感想】『卍』 谷崎潤一郎

やっぱり谷崎の音に対するこだわりは恐ろしいほどだと思う。全編が関西弁で回想の形式で語られる。つまり地の文が関西弁。もちろん登場人物も皆関西弁で喋るから、途中何ヶ所かだけ入る注釈以外は全て関西弁ということになる。内容としては同性愛を扱っている...
01_読感

【感想】『ロウきゅーぶ!』 蒼山サグ

ラノベっぽいものを書こうと思ったので、でもぶっちゃけ僕ラノベとかあんまり読まないわけですよ。実は。だからなんか最近のラノベを一冊くらい読もうと思って、いや、ち、違うんです! これを選んだのはたまたまで! その!まあ、実際読んでみたらこれは際...
03_作品

小説作法(推敲前)

部屋の隅の壁紙の剥がれた辺りから白髪の男が急に現れ、俺の休日の午後を破壊した。「何しとんねん」 居間でだらだらくつろいでいたら見知らぬ男が現れたのだ、仰天である。「なんだ、神か悪魔か」「どうでもよろしい、何してるんやて」「何って、ただだらだ...
03_作品

青ずきんちゃん

「こんにちは、おばあさん」 いつも青いずきんをかぶっている青ずきんという女の子が、森の中のおばあさんの家を訪ねました。「出かけているのかしら……?」 ところが急に戸が開き、大きな大きな恐ろしい狼が出てきます。「げへへ、ババアはまあまあだった...
03_作品

夜を説く

部屋に来てからすぐ、小夜は言いました。「私作家になる」 眠そうな青い瞳がきれいです。「小説を書くの」 既に二日という長い間、小夜は僕のアパートで暮らしています。明日を思うと恐ろしいですが、最近では考えないようにしています。未来のことを頭から...
01_読感

【感想】『宗教聖典を乱読する』 釈徹宗

実は聖書すらちゃんと読んだことがないんです。「聖書も読まずにドストエフスキー好きですとかいってんじゃねえ!」って表参道の路上で強面の兄ちゃんに殴られたことあります。嘘です。でもやっぱその辺の知識必要ですよね。それで聖書とかいつか読もうと思っ...
01_読感

【感想】『赤と黒』 スタンダール

フランス文学読もうと思ったがむしろ岩波にありそうなフランス文学をこれしか知らなかったのでとりあえず読みました。社会的側面は、世界史の知識が乏しくよくわからなかったんだけれども、そういう視点は排除しても、恋愛小説としてとても面白かった。ジュリ...
01_読感

【感想】『読書について』 ショーペンハウエル

三篇収録されている(『思索』『著作と文体』『読書について』)のですが、真ん中の『著作と文体』がとても興味深かったです。匿名批評についての話や、思想と文体の関係の話など。うんうんと思わずうなずいてしまうような鋭い意見もあれば、僕自身がブログで...
03_作品

飼育の関係

何しろ此の時代である。少女に家族は無い。摩天楼の居並ぶ街の片隅、黴臭いアパアトメントの一室で暮らしている。近頃はその様な子供も大変多い。 或る日の暮れ方、少女は市の高架チュウブを、宛てどもなくぼんやり歩いていた。少女は毎夕そうして市を彷徨い...
01_読感

【感想】『蜘蛛の糸・杜子春』 芥川龍之介

文庫を3冊買ったら割引だったから、3冊にするために購入。限定カバーに釣られた(上の画像は限定カバーじゃない)。中身は読んだことある作品が多かったけど、初めてのもあった。年少向けの作品を集めた、と書いてある。蜘蛛の糸やっぱり童話的な完成度高い...
01_読感

【感想】『文体練習』 レーモン・クノー

1つの短い、特に面白みもない話を、99の文体で書く、というもの。もはや訳者の作品だろ、という批判(?)もあるみたいだけど、まあ確かに。訳者の作品ですね。でも面白かったからとりあえず良い本だと思う。フランス語ができたら原文で読むのが良いんだけ...
03_作品

3という数字の秘奏性と虚造性と魔想性を考察するべくなされた一つの小さな空想譚

地下鉄に乗って午後三時。だが地下だ、暗い。暗い暗い暗い隧道を黒い黒い黒い地下鉄がいくらいくらいくら走っても闇には追いつけぬ。地下鉄は空いている。が座席は埋まっている。私は立っている。地下鉄を好いてはいない。が予定は詰まっている。私は乗ってい...