【感想】”Annihilation” by Jeff VanderMeer

Amazon | Annihilation: 10th Anniversary Edition (Southern Reach, 1) | Vandermeer, Jeff, Fowler, Karen Joy | Horror

 みんなはもう10th Anniversary Edition予約した? 表紙が良いですよ。

 謎の領域Area Xの調査のため、監視機構Southern Reachから派遣される調査隊の生物学者(今回の調査隊は心理学者、測量技師、人類学者、生物学者の四名の女性からなり、互いに本名は明かしてはいけない)の視点で、異様な生態系や過去に派遣された調査隊がたどった運命が明らかになったり、ならなかったりする。Southern Reach三部作の第一部。邦訳は酒井昭伸訳『全滅領域』

 私がとても好きな作品(2021年度笹NOTY受賞作)で、よし原書でも読もうかなと読み始めたもののさすがに長編で遅々とした進みだったところ、何と今年秋、Southern Reach三部作の第四部”Absolution”が出版されることが発表されました(作者Twitterでちょくちょく言及があったので書いているのは知っていたが本当に出るんだと思った。ちなみに作者Twitterは自然が多くてとても良いです)。そうなると、それまでに通読せねばなるまい、と思って少し加速して”Annihilation”をようやく読み終えました。なお、三部作のタイトルは”Annihilation”, “Authority”, “Acceptance”で、第四部が”Absolution”。邦訳では『全滅領域』『監視機構』『世界受容』とAの代わりに四文字で揃えている。”Absolution”はどうなるんだろう(●●赦免?) 邦訳は出るのでしょうか? 超絶出てほしい、出てほしいが、原書でも楽しめるようになりたい。

 Area Xの自然の美しさや恐ろしさの描写は自分の語学力においても原書でも感じることができ、ある意味で生物学者の興味関心の向いているところにフォーカスした文章になっている(そんなことをAuthorityでControlに指摘されていたな)のかもしれないと思った。そもそもこのテクストが何のテクストなのかが明示されるのはAnnihilationの最後のところだけど、読み返すと灯台のところでもうそれ言ってたんだなと気づいた。(好きな構造発表ドラゴンが好きな構造を発表します、終盤にそのテクストが何のテクストなのかが明かされるやつ)

 04: Immersion冒頭の、心理学者の質問に生物学者がつっけんどんに応えつつ内心では思い出が再生されているシーンがすごくよい。”Breakfast”の回答がめちゃいいんだけど、これもまたControlがあとに言及することになるの読み返すといいなぁと思った。再読すると良さが深まってくる。

 終盤にいくにしたがって生物学者は超越気味になっていくのだが、その状態にありながら夫への心情や罪悪感が募っていくところは読み応えがある。手記に対してなんとか答えたいという下りのところがぐっときた。

 いまは”Authority”も読み始めており、Controlの萌えキャラぶりがすごいなと思っています。

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