【感想】『探偵AIのリアル・ディープラーニング』早坂吝

Amazon.co.jp: 探偵AIのリアル・ディープラーニング(新潮文庫nex) 電子書籍: 早坂吝: Kindleストア

 対戦学習させるために作られた犯人と刑事(→後に推理小説をディープラーニングしたことで探偵にジョブチェンジする。は?)の双子のAIが開発者の死によって解き放たれ追う者追われる者に、という設定の、AIを扱ったライトミステリ、というか、AIの話よりミステリオタク話が多い気がする。

 上記のネタはめちゃくちゃ笑ったし、ライトなノリ、各種オマージュ、雑展開が楽しく、都合良く情報手に入りすぎだろ!とか、絶対それディープラーニングではないだろ!とか、『ああっ、お兄ちゃーん』じゃねえよここ新潮nexだぞ!とかはかなり良い。ただ、それらと微妙に重い設定や起こる事件がうまく馴染んでいないように思えて、ちぐはぐな印象があった。どうしても題材的に、発表は後発だが自分は先に読んだ『AI法廷のハッカー弁護士』と比べてしまうところがあり、それで自分のハードルが上がっているかもしれないが、このライトさとシリアスのバランス感覚の面では自分の好みとちょっとズレている感じがあった。

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