文芸同人・ねじれ双角錐群による、《取扱説明書》をテーマとするSF・幻想アンソロジー『故障かなと思ったら』が、2022年11月20日に開催される文学フリマ東京35にて販売されます!(通販あり。ページは末尾に追記)
文学フリマ東京35のイベント概要はこちら。入場無料。文学で殴り合う奇祭です。
ねじれ双角錐群は、第一展示場のG-10というスペースです。以下がWebカタログ。
今回の新刊『故障かなと思ったら』は、《取扱説明書》がテーマです。テーマのフィーチャー度が高い作品から紹介すると、小林貫「取説ばあさん」は取扱説明書を求める妖しい老婆が登場するサイバーパンク・怪異譚であり、Garanhead「故障とは言うまいね?」では取扱説明書の地位が極度に向上した世界でそれを執筆する資格者「マニュアリストロ」たちの活躍が描かれます。石井僚一「森/The Forest」はレイ・ブラッドベリの「みずうみ」をもとにした美しい叙情SFですが思わぬ形で説明書が登場しますし、cydonianbanana「閲覧者」には開かれたままの取扱説明書が登場し、しかし登場人物は不在のまま縮尺一分の一の地図をめぐる冒険が進行していきます。全自動ムー大陸「直射日光の当たらない涼しい場所」は取扱説明書を題材とした短歌十首の作品で、短編小説アンソロジーのインターミッションとしても取扱説明書の広がりを感じさせます。笹幡みなみ「私の自由な選択として」は反射療法(リフレクソロジー)における足の裏と全身の対応関係を示した図を人体の取扱説明書になぞらえ、murashit「子供たちのための教本」は予め父の死を通知された子が手引きを頼りに役所へと向かいます。鴻上怜「沼妖精ベルチナ」には沼妖精が登場します。
自作については宣伝と言うことでもう少し追加で紹介しておきます。笹幡みなみ「私の自由な選択として」は、足の特定の反射区(厳密に言うと違う概念であり、作中でこの言葉は使っていませんが、あえて間違ったわかりやすい単語で言えば、いわゆる「足ツボ」)を押すことで、自由意志信念が強まるという研究についての話です。押したら自由意志の存在を感じられる足ツボ、あなたは押してもらいたいですか。
以下に冒頭試し読みを公開しています。
エピグラフを二つ付けるという贅沢なことをやっていますが、これは伴名練「なめらかな世界と、その敵」リスペクトです。ということはエピグラフが実質三つかもしれない。一つ目で引いたテッド・チャン「不安は自由のめまい」を偉大な先行作としてリスペクトしつつ、違う方向に向けた作品を意図しています。
11月20日文学フリマ東京35、ぜひお越しください。
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