前に、『躯体上の翼』を読んだときにめちゃめちゃ面白くてヤバいと思ったので、同じ作者の他の作品も読んでみるかと買って例によって長期間積んであった一作。悪くはなかったと思うけど残念ながら躯体上の翼ほどは楽しめなかった。躯体上の翼でハードルが上がりすぎていたかもしれない。
日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作なので、ミステリーということになるわけだけど、提示した巨大な謎というか広げた大風呂敷に対して、パズラー的に正解が出せるわけでもなく、あるいは超常的な概念を導入してぶっこわしてくるでもなく、なんか、え、それでいいのかよという感じで畳まれてしまったのが不完全燃焼だった。納得感がない。かわりに雰囲気がもっと好みであればそちら方面で楽しむことが出来たのだろうけれど、そちらもそちらで、SF感やサイバーパンク性が入ってくるかと思うとそうでもないという、振り切れない感じがあった。