【感想】『第一回異世界分子生物学会年会講演要旨集』

 第二十八回文学フリマ東京にて入手BOOTH通販あり

 異世界における分子生物学会の講演要旨集という体裁で、異世界的な存在を科学的に紐解く。しかも本物の研究者たちが書いており、雰囲気がそれっぽくなっている。企画としてめちゃめちゃ面白そうなので速攻で買いに行きました。

 どれも面白かったが、気に入ったのをいくつかメモ。『ケルベロスの唾液由来アルカロイド誘導体の構造および生合成メカニズムの解析・黒川晶(第7 魔法大,魔法生化学)』はサベルニンとかオルフェウスとかの小ネタがじわじわきてよかった。『害獣ノヴァのドラフトゲノム・Uta Tsutats(ホイ・ホイ大理,人類学) 』と『全ゲノム解析が明らかにするワモンゴブリンの特異な性的嗜好の起源・人鳥暖炉(スカイガイオン鳥人自治区立大)』の2本はこの企画の中でも文芸性というかエンタメ性が強く特に好き。他の作品は真面目に(?)分子生物学会に本当にありそうな内容を(いや行ったことないけど)異世界の生物に当てはめているものが多く、その「ありそう感」が楽しい中に、いきなり投げ込まれる上記二作のオチが好きです。巻末に松浪硝子の広告があり(ガチなのか??)、でもその住所の「異世界文京区湯島」でめちゃめちゃ笑ってしまった。

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