海に関連するSF的短編小説集。もともと別々の合同誌等に寄稿された作品を集めて構成しているとのことでしたが、単に集めましたという感じが一切なく、一冊の作品としてのまとまり・読了感の良さが素晴らしい作品でした。作品単体で読むと、続きが気になる(話がまとまるとかオチがあるとか解決するといかいうタイプの作品ではないため、悪く転べば単体では物足りなさもありかねない)ところ、うまく作品同士がつながることで、不思議で良い雰囲気がリレーされているように感じます。どの作品も気に入りましたが、特に良かったのは『morris』の異形と夜霧の感じ、『20,000 miles away』のラストシーン。あと、装丁や組版の細かいところにも気を配っているのが、一冊の完成度を高めているように思いました。「了」の代わりに使ってる(?)マークが好き。