01_読感

【感想】『初恋』 ツルゲーネフ

なんというか、完成度が高い。ツルゲーネフの最高傑作とも言われているらしいけど、この一作読んだ限りでは確かにそうなのかもしれないと思う。最近ロシア文学の有名どころをちょんちょんと読んでいるわけだけど、ゴーゴリ「鼻」「外套」やプーシキン「スペー...
01_読感

【感想】『外套・鼻』 ゴーゴリ

ゴーゴリってこんな感じなんですね。なかなか好きです。外套は、序盤微笑ましい感じの話なのかと思ったら、最後心霊モノみたいになって、うおおって感じでした。鼻は、序盤から不条理すぎて、全部うおおって感じでした。ゴーゴリってそんな不条理なものを書い...
01_読感

【感想】『スペードの女王・ベールキン物語』 プーシキン

『スペードの女王』と、ベールキン物語より『駅長』を読みました。まあ『駅長』は歴史の流れ的な意味でなるほどなっていう感じではありましたが、『スペードの女王』が強烈ですね……。かなり衝撃を受けました。一種の霊モノって言えばそうですね。もし現代風...
01_読感

【感想】『オネーギン』 プーシキン

オネーギン (岩波文庫 赤604-1) | プーシキン, 池田 健太郎 |本 | 通販 | Amazon『エヴゲーニイ・オネーギン』ってタイトルの方が日本では有名な気がしますが、岩波文庫ではこのタイトルです。プーシキンの足フェチぶりは聞いて...
01_読感

【感想】『哀れなリーザ』 カラムジン

教授(ロシア文学)の紹介で。まず語り手(私)=作家の構図っていうか形を使うことによって、一応主人公をリーザにしつつもエラスト側の情報も書けるわけですね。さらに、リーザ視点で書いてしまうとどうしても「リーザに対する感情移入」を誘う形になり、そ...
03_作品

タイムバタフライ

ガガガガガ、と凄まじい音を立てて、巨大な円環が回転を始めた。ヒュンヒュンヒュン、と、空気を切り裂く音がだんだん高く速くなってゆく。チタンコートのリングは直径10メートル。中心にはスチールチェアがぽつんと置かれている。八方からの光線で、その背...
03_作品

都市精彩

腕をかざすと、センサーが正しく機能し、僕を認識する。感じよくくすんだ灰色に近い白の扉が、柔らかい空気音をたててスライドする。部屋の温かい照明が灯り、真っ白い照明の廊下から、かすかにオレンジがかかった室内へ。そう広くはないけれど、気に入ってい...
01_読感

【感想】『チグリスとユーフラテス』 新井素子

話としては、とても面白い小説だった。だが。だが、やはり私には、この文体がちょっと気に入らなかった。いや、ちょっとなんてものではない。私にはどうしても。受け入れられなかったんだよう!まあこういう文体でした。一人称の時の文体が気に入らなくでも、...
01_読感

【感想】『症例A』 多島斗志之

症例A (角川文庫) | 多島 斗志之, 多田 和博 |本 | 通販 | Amazon三読目くらい。多重人格モノなのですが、なかなか好きです。前に読んだビリー・ミリガンは、一応ノンフィクションだったわ けですが、こっちは完全にフィクションで...
01_読感

【感想】『アラスカ 風のような物語』 星野道夫

なんでこんなに印象的な文章が書けるんでしょう。時々、一つの文章のなかの最後の一文がものすごく魅力的で、ふわっと来たり、ぐっと来たり、がつんと来 たりします。ひねくれた見方をすれば、「なんかあざとくてあれな文だな」ってなってしまいそうなのです...
01_読感

【感想】『月の本』 林完次

サブタイトルが"perfect guide for the MOON"とあるように、「文学、天文学、社会学、人類学、美術など、さまざまな角度から月の謎や魅力を各分野の専門家が分担執筆した」本です。写真がき れいだったから手に取り、中もろくに...
01_読感

【感想】『人形の家』 イプセン

新たな時代の女性の姿、ですか……。ノラの行動については、なんかあんまりピンと来ませんでした。ヘルメルにも問題はある、というか最低なやつだと思いますが(といっても歴史的に見て彼個人の責任は問えないのかもしれない)、でもノラもよくわかりませんで...
01_読感

【感想】『おれに関する噂』 筒井康隆

やられました。一番最初に、「蝶」という短編小説が入っていて、これは文庫本見開き一ベージに収まるくらいの短いショートショートで、多分 1500字もない作品なんですが、これがやばい。ちょっと衝撃的でした。正直、筒井康隆がこんなの書く人だと思って...
01_読感

【感想】『半分の月がのぼる空』 橋本紡

ラノベ読んでここに感想書く事を想定していなかったので星のつけようが無いんですが……。今までラノベ読んでもここには書いていなかったので。普通の小説とラノベじゃあ読み方も違うし評価の基準も違うよなぁ。けどじゃあ普通の小説とラノベの境って何なんで...
03_作品

自己責任

このごろの季節は日が落ちるのも早くなり、もう空は真っ暗である。男の子は塾からの帰りで、一人夜道を歩いていた。まだ半袖で通している男の子には、少し肌寒い。この長い坂道を上りきれば家につく。さあ、早くおうちに帰らなきゃ。 突然、男の子の背後で、...