01_読感

【感想】『月の本』 林完次

サブタイトルが"perfect guide for the MOON"とあるように、「文学、天文学、社会学、人類学、美術など、さまざまな角度から月の謎や魅力を各分野の専門家が分担執筆した」本です。写真がき れいだったから手に取り、中もろくに...
01_読感

【感想】『人形の家』 イプセン

新たな時代の女性の姿、ですか……。ノラの行動については、なんかあんまりピンと来ませんでした。ヘルメルにも問題はある、というか最低なやつだと思いますが(といっても歴史的に見て彼個人の責任は問えないのかもしれない)、でもノラもよくわかりませんで...
01_読感

【感想】『おれに関する噂』 筒井康隆

やられました。 一番最初に、「蝶」という短編小説が入っていて、これは文庫本見開き一ベージに収まるくらいの短いショートショートで、多分 1500字もない作品なんですが、これがやばい。ちょっと衝撃的でした。正直、筒井康隆がこんなの書く人だと思っ...
01_読感

【感想】『半分の月がのぼる空』 橋本紡

ラノベ読んでここに感想書く事を想定していなかったので星のつけようが無いんですが……。今までラノベ読んでもここには書いていなかったので。普通の小説とラノベじゃあ読み方も違うし評価の基準も違うよなぁ。 けどじゃあ普通の小説とラノベの境って何なん...
03_作品

自己責任

このごろの季節は日が落ちるのも早くなり、もう空は真っ暗である。男の子は塾からの帰りで、一人夜道を歩いていた。まだ半袖で通している男の子には、少し肌寒い。この長い坂道を上りきれば家につく。さあ、早くおうちに帰らなきゃ。  突然、男の子の背後で...
01_読感

【感想】『カラマーゾフの兄弟』 ドストエフスキー

長かったですが、ついに。 長かったと言っても読むのにかかっていた時間が長かっただけで、内容の感じでは長いという感じは全然しなかったですし、むしろこれだけのものならまだまだ読めるぞ、という気がします。 やっぱりこの小説はすごいですね……。相変...
03_作品

血流

若い娘の血はうまい。でももう選んでなどいられなかった。血が騒ぐのだ。ともかく吸わなければならない。目覚めたときから頭が痛く、立ち上がって動く事ももう出来ない。気が狂いそうだ、いや、既に狂っているのか。左腕はすっかり噛み尽くし、手首には骨が覗...
03_作品

横断者

スクランブル交差点では、歩行者信号が青になっている時間が普通より長い気がする。スクランブルだと歩行者にとっては青になるまでに時間がかかるからだろうか。だが、「長い間待たせたので、渡る時間も長くしました」と言われて歩行者の持ち時間が長くなって...
01_読感

【感想】『罪と罰』 ドストエフスキー

いやあ、この小説、ヤバいですね。二回目の通読でしたが、相当なものがぶつかってきます。後半なんて、読んでいると本当に、ラスコーリニコフと一緒に熱病におかされているみたいになってくるのです。 すごい小説になればなるほど、ここに書く事が浮かばなく...
03_作品

拳銃の神様

男が僕に拳銃を向けていた。 「な、なんですか」 「拳銃の神様だ。いいから入れなさい」と男がマスク越しに言う。  マスクだけじゃない。サングラスにグレーのハンチング帽、服は背広の上にコートで黒ずくめ、危ない匂いがぷんぷんする。確認もせずにドア...
01_読感

【感想】『旅をする木』 星野道夫

かなり長い事ちょびちょび読んで、やっと最後までいきました。と言っても、短編のエッセイ集なので、別にバラバラに読んでも困るものではありません。というか、だからこそ読むのがゆっくりになってしまったのですが。 星野さんは文章もうまいですね。優しい...
01_読感

【感想】『ねじまき鳥クロニクル』 村上春樹

再読です。 前に一度図書館で読んでおもしろかったのでいずれもう一度読みたいと思ってたんです。 前回読んだときは長過ぎて構成の破綻感がちょっとしましたが、一応全部の筋を知っている状態でもう一度読むと、よくできた話だなという感じです。 村上春樹...
01_読感

【感想】『森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて』 星野道夫

川野さんに薦めていただいた「旅をする木」は学校の図書室に入っていなかった(今度リクエストして買ってもらおうと思ってますが)ので、入っていたものを借りて読んでみました。 星野道夫さんは、シベリアで就寝中にテントをヒグマに襲われ亡くなりました。...
03_作品

エスパーモノローグ

私は超能力者だ。読心術もできるし瞬間移動もできる。スプーンはいとも簡単に曲がる。  私は毎朝6時きっかりに清々しく目覚める。というのも、私は毎日寝る前に「私は明日の朝6時に清々しく目覚める」と予言しているからだ。私の予言は外れない。目を覚ま...
03_作品

4代目、4台目

僕の体はぶっ飛んでくるくると回る。漫画のように回転し叩き付けられ、ずうんと重いものが体の中でガラガラいって、白いワンボックスが走り去る。当て逃げ、という言葉が浮かび、いや、ひき逃げだ。  左足からとくとくと流れる温かい血で、ズボンが台無しで...