03_作品

大逆循環紙芝居 卒業証書授与式

(川が流れ始め、皆が立ち上がる) 「マルクスは死んだ」  僕も知っている。 「マルクスは戻らない」  それも知っている。 「だから俺がマルクスになる」  それも。 (沈黙。一人目の生徒の名前が呼ばれる)  冷蔵庫を開けたり閉めたりしていた。...
01_読感

【感想】『ハーモニー』 伊藤計劃

「たまには生きてる現代の作家の小説も(紙の本で)読むか」とか思って買いに行ったのにいつの間にか生きていない人のを買ってしまいましたが、しかし本になった長編が2作だけというのは惜しいというか、惜しいなんていうのはおこがましい気もするんですが、...
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【感想】『日本辺境論』 内田樹

「そのとおりだと思います」としか言えないような一冊。内容に深く同意する、という意味ではない。もちろんかなり同意できる部分もあるし、なるほどすごいなと思った部分もあった。一方それはちがくねーかと思った部分もあった。 しかしなんにせよ、この本に...
03_作品

恋する妹はせつなくてお兄ちゃんを想うとすぐくるくるしちゃうの(ことばあそびに憑かれた男)

「生まれた時から待ってたの!」  野原で回転する君の笑いと叫び。微風も頬に吹いてきて。天を君につられて仰ぐと。永久に浮かんでいて欲しい夏の雲。 「もっとこっちにおいでよ!」  喜びかなしみオレンジワンピース。涼しげに君はいつの間にか遠く。苦...
03_作品

時空蕎麦

もとはおつゆとめんは別。めんどくさくておつゆをぶっかけた。おつゆをぶっかけた!? まあそこは深追いしない。ぶっかけたらけっこういけた。てっとりばやい。江戸でブレイク。かけそばである。 「かけそばおまち」  男は樹脂製の箸を一膳、箸立てから抜...
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【感想】『政治のリアリティと社会心理―平成小泉政治のダイナミックス』 池田謙一

タイトルだとはっきり言って何の本か分からないとおもうので出版社の宣伝をコピペすると、 本シリーズの基礎をなすJESⅢパネル調査は,九波に及ぶそれで,21世紀初頭,小泉政権期をほぼカヴァーし,1976年JABISS調査から数えても30年の歴史...
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【感想】『ABC<阿部和重初期作品集>』 阿部和重

Amazon.co.jp: ABC<阿部和重初期作品集> (講談社文庫) 電子書籍: 阿部和重: Kindleストア 表題作(?)の『ABC戦争』がともかく面白かった。もはやストーリーの中身なんてどうでも良くなるくらい語ることが重要な小説だ...
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【感想】『催眠術の日本近代』 一柳廣孝

なんて怪しげな本なんだ、と思って手にとって読んでみたら、とんでもなく予想を裏切る方向に面白かった。催眠術に主眼を置いた、日本近代の文化史。 西洋から催眠術が日本に入ってきたとき、それは動物電気だとかなんだとか言われ、近い時期に入ってきた科学...
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【感想】『卍』 谷崎潤一郎

やっぱり谷崎の音に対するこだわりは恐ろしいほどだと思う。 全編が関西弁で回想の形式で語られる。つまり地の文が関西弁。もちろん登場人物も皆関西弁で喋るから、途中何ヶ所かだけ入る注釈以外は全て関西弁ということになる。 内容としては同性愛を扱って...
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【感想】『ロウきゅーぶ!』 蒼山サグ

ラノベっぽいものを書こうと思ったので、でもぶっちゃけ僕ラノベとかあんまり読まないわけですよ。実は。だからなんか最近のラノベを一冊くらい読もうと思って、いや、ち、違うんです! これを選んだのはたまたまで! その! まあ、実際読んでみたらこれは...
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小説作法(推敲前)

部屋の隅の壁紙の剥がれた辺りから白髪の男が急に現れ、俺の休日の午後を破壊した。 「何しとんねん」  居間でだらだらくつろいでいたら見知らぬ男が現れたのだ、仰天である。 「なんだ、神か悪魔か」 「どうでもよろしい、何してるんやて」 「何って、...
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青ずきんちゃん

「こんにちは、おばあさん」  いつも青いずきんをかぶっている青ずきんという女の子が、森の中のおばあさんの家を訪ねました。 「出かけているのかしら……?」  ところが急に戸が開き、大きな大きな恐ろしい狼が出てきます。 「げへへ、ババアはまあま...
03_作品

夜を説く

部屋に来てからすぐ、小夜は言いました。 「私作家になる」  眠そうな青い瞳がきれいです。 「小説を書くの」  既に二日という長い間、小夜は僕のアパートで暮らしています。明日を思うと恐ろしいですが、最近では考えないようにしています。未来のこと...
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【感想】『宗教聖典を乱読する』 釈徹宗

実は聖書すらちゃんと読んだことがないんです。「聖書も読まずにドストエフスキー好きですとかいってんじゃねえ!」って表参道の路上で強面の兄ちゃんに殴られたことあります。嘘です。でもやっぱその辺の知識必要ですよね。 それで聖書とかいつか読もうと思...
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【感想】『赤と黒』 スタンダール

フランス文学読もうと思ったがむしろ岩波にありそうなフランス文学をこれしか知らなかったのでとりあえず読みました。 社会的側面は、世界史の知識が乏しくよくわからなかったんだけれども、そういう視点は排除しても、恋愛小説としてとても面白かった。 ジ...