【感想】『テレビ放送開始69年 このテープもってないですか?』

テレビ放送開始69年 このテープもってないですか? | テレビ東京・BSテレ東 7ch(公式)

 もうインターネットの全員見てるっぽいのをやっと今さら見た感じなので、特に自分が書く必要があるのか分からないけど、面白かったので感想。

 年末にやってたテレビ番組。現在上記のページやTVerで見られる。テレビの放送開始から69年のいま、もはやテレビ局にも残っていないテープ時代の映像を、視聴者から提供されたテープを使って振り返るという番組。少しだけ当時のニュース番組の単発VTRもあるが、基本は80年代の深夜バラエティ「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」を三夜に渡って特集し、当時を知るいとうせいこうと平成生まれの井桁弘恵がコメントするという構成。「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」は視聴者の投稿ビデオコーナーが大きな割合を占める番組であるため、作中作的に80年代当時のホームビデオを見ることが出来る。この入れ子構造が良くて、単に昔のテレビというのではなくて、視聴者撮影のものだから、当時の機材品質、素人の撮影(見切れてたり、白飛びすごかったり)、さらにテープ自体の劣化による独特の映像の質感ですごいことになっている。投稿ビデオでは第一夜の「方向音痴で困っている」の映像が一番好きで、やっぱりここにたどり着くまでこの昔のバラエティのダルい感じがあるのがこの映像で一気に引き締まって良い。そうそうこういうの来たよ、という。そこからスタジオに戻ったときの展開も好き。第二夜の「人見知りのぺぺちゃんを紹介」の映像もかなり良い。撮影者の動きが良すぎる。で、第三夜になると放たれる言葉の崩れ具合が心地よくて、怖いとかじゃなくて心地よいのが面白いんだと自分は思った。全編を通じて胎児、赤ちゃんのモチーフが結構出てくるけど、直接的にも胎内で聞いていた音がホワイトノイズに近くて落ちつく話はだからまさにテレビっ子ということになるし、まあ細かいところの意味はよく分かってないけどなんとなくそういうことが言いたいんだろうという感じはある。新生児はまだ目は見えていないけれど明るいか暗いかは分かる。言葉の意味しているところは分かっていなくてもその響きを感じることが出来たり語り手の感情を感じ取ることが出来たりする、それがむしろ心地良い。芒に月、出鱈目の坊主が真っ黒に塗り潰した枯尾花。花の蕾の羽化と同時に裏返った全展望監視の円筒形、円筒と管と消化管、胃袋以外のすべてを露出した両生類。

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