輪るピングドラム劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編]僕は君を愛してる

 この記事にはネタバレが含まれます。

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 なお、前編のときの記事はネタバレなしで書きました。

  • ありがとう、輪るピングドラム劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM。十年経ってもう一度この作品に向き合えて本当に良かった。
  • ここから後編見たときの思ってたこと。
  • 後編の最初の組み替え方、上手いと思った。前編の最初からいきなりクライマックスで強かったけど、あの朝ご飯と子供のシーンもきちんと組み込んできた(いや、あれがないと最後のシーンがうまく嵌まらないから思えば当然ではある)。
  • ゆり、多蕗回を怒濤の回収。やっぱり尺に収めるのにかなり大胆なカットをしているなと思った。そのカット具合により救済マシーン桃果の暴虐ぶりが際立つ。やっぱりかなりヤバイ奴だろ。これは救われてしまいますわ。でもこのあたりは、前編に続いて尺の詰め方うまいな~と思って見てた。
  • しかし、「死なない男」回が完全スキップされているのが気になる。前編で出てきたときただの謎ストーカーと化していた真砂子について自分はまあ後編でサラッとやるんでしょと思ってたら全然やってくれない。ギャグパートが多い回でありそこは全カットだろうと思うけどもとはいえここがないと真砂子が深まらないまま退場しないか、と思って心配になる。
  • 「選んでくれてありがとう」回の陽鞠の影のある描写はやっぱりぐっとくるものがあり、改めて見て本当に良いと思った。あと、この話で剣山が巻き込まれてとか騙されてとかではなくて完全にテロの主犯格であり、テロの後もそれを正当化して組織を仕切ってるヤバイ奴であることが描写されて、同時に後半ではこどもブロイラーについて晶馬に聞かれたときこども達を救いたいっていう正義を語るところ、このあたりがこの両親像のアンビバレントを深めてて好きなんですけど、あの下りがきちんと入っていたのは良かったと思う。
  • でもここでも真砂子がプロットから排除されているんだが……。(思いだし弾みたいな無茶な反転設定、めっちゃ好きなんだよ!)
  • そのまま「美しい棺」回に突入してしまい、極めてスピーディーに美しい棺の下りまでいってしまう。この回、自分は「選んでくれてありがとう」に並んですごい好きなんです。陽鞠が残した手紙(こどもブロイラーに行きます)と、真砂子の最後(あそこは美しい棺)が、この作品の二大好き長台詞なんだ。でもこれは、「死なない男」からの積み重ねがあって、真砂子の冠葉への思い、父親への思いがあって、だから貴方は組織に利用されているだけとかそういう台詞に切実さがでて、最後の覚悟があって、それで「美しい棺」の長回しがめちゃくちゃかっこいいんじゃないですか! ちょっとそこをバッサリ行くのは悲しいぞ……となった。
    • 尺の都合があるからね、とは思うものの、でもまるごと消えてるわけじゃなくて最後マリオさんと一緒に出てきたりはする(再構成でまた会える感が強まっていてそこはよかった)し、でもそうだとするならあのシーンに至る流れを作って欲しかったなと思ってしまうところがあり……。(マリオさん、かなり誰状態になってるな)
    • 尺の都合があるからね、とは思うものの、いやあの謎実写インターミッション贅沢に時間使ってましたよねと思ってしまうところもあり……。
    • ここが一番気になってしまったポイントでした。
  • ところでトリプルHの曲は全部良かった。
  • ラストはしっかりやり直していて改めて良かった。
  • 最後の浜辺のカーテンコール的なやつ、良かった。ずるい。最高。
  • もちろんやくしまるえつこも良かった。
  • もちろんもちろん、橋本由香利サウンドの調整のものすごい巧みなのも言うまでもない。一番労力かかってるのはそこなのでは。
  • 順番前後するけど多蕗が陽鞠助けるときワープしたとしか思えないのやっぱり十年経ってもじわじわ来た。こいつ瞬間移動能力者だろ。
  • そういえば、このプロットでは、日記の半分を最初に奪ったのがゆりだということが視聴者にも明かされていないのに(明かされてないよね……?)、いきなり苹果ちゃんに返還されていて唐突すぎないか?
  • オリジナルパートについて。結局は本編で行われていた代理戦争の本体側が描かれたような形になっていて、前編で思わせぶりに描写されたメタ構造(本を読む)、繰り返しの構造(本が大量にある描写、「全部壊してやりなおす」的な話)が特に活きてくるわけではなかった(ような気がするけど。読めてないだけ?)のがちょっと肩透かしではあった。でも成長した桃果のビジュアルが登場するところとか、プリンチュペンギンの道具立てはめちゃくちゃ良かった。救済暴力マシーン桃果のある意味『素』に近い姿が(どちらかというと前編で)表現されていたのも面白かった。このあたりはファンサービスというか、十年ぶりならではというか、良いですよね。
  • 眞悧に関して、前編で思わせぶりなことを言いつつ最後は「だよねぇ」退場で落としてしまうのは手癖っぽいな。このオチは眞悧にメタなメッセージを読み取るオタクを牽制する一打だよね(本当か?)
  • こうして書き出したところだけ見返すと若干ネガティブ要素がみえるのだけれど、うまく言葉に出来ない良かったポイントも無数にあって。十年経って見てもう一度やっぱりすごい作品だと思ったし、あ、自分のあの部分ってピングドラムのここに影響受けてたんだ、みたいなのを改めて発見できたところも数多くあり、やはり自分の中でとんでもなく大きな作品でした。そして多くの人にとってもそうだということがクラウドファンディングに参加したりしてわかったのも良かった。ありがとうございました。
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