イベント参加時にお題箱を設置し、そこに入れられたお題から引き当てたもので短編を書いて次のイベントで新刊にします、という企画で、「下北沢初代永世カレー王」をお題に書かれた短編。
いや、お題の難易度が高すぎるだろう。けれどそのお題に対し、しっかり料理していく姿勢が良かった。二秒くらいで考えようとすると「下北沢初代永世カレー王」と言われたらなんか料理対決的に最強のカレーを作るみたいななんかそんな感じになるが(なるか?)そういうネタ方面に走らず、ちゃんとお題は使いつつ下北沢とカレー王にフォーカスして話を掘り下げてあり、憧れの心情描写や最後のカタルシスなど、丁寧な書き方が光っていた。冷静に考えるとカレー三杯食って歌うだけで、肝心の浦野の手がかりすらつかめないんだけど、それを熱とスパイスと歌で押し通すエネルギーがすごくて、読んでいる時は爽快感あるし、読み終わって振り返ると笑ってしまう。フードファイトじゃなくてこれを書いてもらえるならお題入れた人は本望なんじゃないでしょうか(適当)。
あとがきの歌詞利用の話が結構興味深かった。商業の本でガンガン歌詞載ってくるやつはどれくらい払っているんだろう。