やばすぎる小説の二作目。前作は小平事件、今作は帝銀事件。事件そのものの闇の深さとして、帝銀事件はより闇が深いということもあって、前作で見られた狂気の表現は引き続き研ぎ澄まされつつも、より事件そのものの描き方にシフトしているように感じた。前作は、事件を捜査する刑事の抱える秘密や周囲を取り巻く東京の闇の印象が強かったが、今作は事件そのものを『藪の中』方式で語り闇を深めていく。『藪の中』だなこれ、と思った時点で大体読めてしまうことではあるが、前作のようなミステリ的仕掛けはなく、闇が深くなって終わる。でも最後のオペラパートすごいですね……。三部作の最後は下山事件とのこと。まだ出てないっぽいが。