本日の文学フリマ用「改変歴史SFアンソロジー」(パイロット版)が完成しました。収録予定だった坂永雄一氏と皆月蒼葉氏が間に合わなかったので、私・曽根卓の掌編「緑茶が阿片である世界」、伴名練の中編「シンギュラリティ・ソヴィエト」の2本を収録したパイロット版です! ブースは「イー3」! pic.twitter.com/ilDL8yvAw7
— 曽根卓 (@sonesuguru) May 5, 2018
第二十六回文学フリマ東京にて入手。超おもしろかった。パイロット版だそうですが完成版はマストバイなのではないでしょうか。
『緑茶が阿片である世界』 曽根卓
タイトルで出落ち。緑茶が阿片であるという世界で、緑茶について解説した本の訳者あとがきという体で綴られるテキストは、前半は純粋に改変歴史読み物として次々繰り出される小ネタに笑いながら読み、後半の転調でまた笑える。首都のとこが地味に一番じわじわ来た。この読後感は高級茶はごくごく飲めるみたいなやつですよ(高級茶飲んだことなし)。
『シンギュラリティ・ソヴィエト』 伴名練
なにこれめっちゃ面白い。アメリカの宇宙開発にソビエトが対抗せず、代わりに人工知能を開発、シンギュラリティに先に到達した世界の話。ソビエトの人工知能ヴォジャノーイと、それに遅れる形で西側諸国が創った人工知能リンカーンが、人類を置き去りにして戦いを続け、人間は駒以下の存在に。シンギュラリティとディストピアとサイバーパンクと共産趣味とかなんかそのへんのものが投入された最高に楽しい小説でした。党員現実とか案内役レーニンとかワードが一々面白いし、そういった面白いものがしっかり後で回収されていくのも気持ちがいい。ともかく読んで楽しかったです。
(追記)以下の商業誌に「シンギュラリティ・ソヴィエト」収録されてるらしいです。
(追々記)感想も書いた