ビター寄りの良質なミステリ短編が3本収録。
『古本屋に眠る』は古本屋に現れた旧友に関する話。トリックは順当ながら、主人公の鬱屈した心情などの表現が優れているのが良かったように思います。
『マンガを詰める日』はそのまま、マンガを詰める話。自分はマンガあまり読まないので、マンガ語りパートに乗り切れなかったのでちょっとそれが残念かなと。別にこの小説の瑕疵じゃないと思うけど、マンガパートに乗れなかったら成立しない作品ではある気がするので。
『図書室には誰もいない』が表題作で分量的にもこの作品が半分以上を占めており、これが一番好きです。なんだかんだこういう探偵ごっこをしてしまうミステリ研みたいなのに弱いんだよな。図書室の書架の一段分が盗まれるというのも導入として良いし、解決までの構造もしっかりしている。あとキャラが立ってる。俺は西村さんが他に制服のポケットに何を持ち歩いているのか気になるんだ。最後の最後の落ちはかなり突き放し気味で、えってなったけど、少し考えるとちょっと苦い系のこの作品集には合っている終わり方のように思えてきました。というわけで良かったです。