サブタイトルが”perfect guide for the MOON”とあるように、「文学、天文学、社会学、人類学、美術など、さまざまな角度から月の謎や魅力を各分野の専門家が分担執筆した」本です。写真がき れいだったから手に取り、中もろくに見ずに図書館で借りてきたのですが、なかなか面白かったです。
#1 LUNER DESTINY -運命- (短編小説/林望)
あんまり好みじゃなかったです。写真はきれい。
#2 TALES OF THE MOON -月のはなし- (月の登場する神話、小説の一部、詩、歌詞)
神話はすごく面白かった。月が善い存在になっていたり、悪い存在になっていたり、あるいはどっちでもなかったり、地域によって差が大きくて面白かったです。
小説と詩と歌詞は、特に文化的考察とかを無しに集めた意味はよくわかりません。自己満足っぽくなってしまっていると思います。でも北原白秋の「白き月」は気に入りました。
写真はきれい。
#3 THE MYTH OF THE MOON -月の神話- (月交代説とか月空洞説とか月宇宙船説とか/小笠原邦彦)
ハッキリ言って最低です。これを神話的考察としてやるなら最高に興味深かったんですが(そういうオカルトっぽいやつは大好きですからね)、しかしこういう“科学の皮をかぶった”やつは大嫌いです。
あるある大辞典的科学というのは、一理系として非常に毛嫌いしています。魔法の力で健康になるのは結構。けどマイナスイオンで健康になるなんていうのは最悪です。この章は後者でした。
(けど、こういう印象を持たせるための章なのかもしれない、とも思います。嘘を嘘と(ryって言う事なのかもしれないですしね)
#4 THE APPROACH TO THE MOON -月の科学- (科学的に観た月、月面観測、着陸の歴史/林完次)
月の観測の歴史とか、月面図の発展の話は面白いですね。
#5 MYSTERIES OF THE MOON -月の神秘- (月とバイオリズムについてなど/竹内均)
こういう程度の書き方なら(内容が胡散臭くても)、好感を持てます。科学的証明はありませんよ、でも面白いでしょ、だからまあ適度に楽しんでください ね、っていう姿勢が読み取れていいです。最後の狼男になる方法の書き方で、あえてオカルトチックに雰囲気を変えてきたところも、まさにそんな感じでいいで す。
と思ったら東大の教授でNewtonの編集長さんでした。さすが。
#6 ICONOGRAPHY ON THE MOON -月の図像学- (月に関する図像を通して、月の捉え方の文化的変遷など/高山宏)
この章が一番面白いように思います。この章だけ拡大して一冊書いて欲しいくらい。
#7 EXPRESSIONS OF THE MOON -月のことば- (月に関する言葉、諺など)
これもちょっと自己満っぽい。あいかわらず写真がきれい。