フリクリだけどフリクリじゃない、これは、フリクリオルタナティブだ!!!!
予告編の下にネタバレあり感想を書くから見てない人は今すぐ劇場に行け。
本当にそのタイトルの通りで、これはフリクリじゃないけどフリクリなので、フリクリを期待して見に行った人は期待はずれだろうけど、でも俺はフリクリだなぁとも思ったのでそれは良かったと思う。これはフリクリ2とかじゃないし、フリクリオルタナなんだよな。
例えば1話(さすがに各話のサブタイ覚えてないんだけど。ちゃんと意味とか考えながら見たいけど劇場で通しで見るのは無理だよ……)だと、普通に面白いんだけどフリクリじゃないよね感が強くて、それは何かと考えるとなんかこうスタイリッシュさが足りないとか、そういうことになる。なんかハル子が登場しても普通だし、頭からなんか出てきても普通だし、戦闘もなんかまあ、普通、みたいな。でもそれって何かと考えれば、我々はもうハル子が謎のベスパ女じゃなくて光域宇宙警察フラタニティの捜査官であることを知っていて、頭から物が出てくるのは右脳と左脳の思考ディファレンスを利用したNOのチャネルが云々だってことを知っているし、あのカバーの下どう考えてもアイロンあるのを知ってるし、派遣されてくるロボットがメディカルメカニカの刺客だってことも知っていて、彼らの目的は地球をわけもなく平らにすることだって知っている。だからフリクリのときみたいな圧倒的な情報量に翻弄される感覚(それっぽい話が全部無意味で、サラッと流された情報に真実がある!)は、原理的に味わえない。そこに新たな設定とか展開を持ってきて似たようなことをやることはできるけれど、それはかえってフリクリじゃない。だからこの作品はフリクリオルタナティブなんだよなと思う。そのあたりを感じて入っていくことができたのは2話(ヒジリー回)で。ここではフリクリが作品を通して扱っていた大人ぶることの問題が中心に置かれていて、激辛というモチーフであったり、最終的にヒジリーが大人ぶるのをやめる(という成長)もフリクリの繰り返しで。そういうフリクリでやったことを変奏してみようぜという試みがここにあって、やっぱりオルタナ、オルタナとして楽しんでいってくれということだなと思って安心した。
一方で無茶苦茶というか、必然性を拒否した展開やシーンの入れ方にはフリクリを感じるところもあって、例えば3話(モッさん回)はその自由さが感じられた。だってバトル要素なかったし。無意味な女医シーンとか。話ずれるんですけど次はモデルっていうのは最高のセリフだと思う。「伊達よ」並にすごい一言で凝縮されたセリフ。言い過ぎか? 4話(バスケ部)に至っては、なんかかなぶんを嫉妬させることでNOをどうこうしようとかそういう話かと思ったら全然そういうことせず、NO発動してないしメディカルメカニカ関係なさそうな謎のバスケロボとバスケして終わりっていうクソ回なんだけど(一応弾丸のネタとか、子供であることを認める話とか、一応やってはいるんだ、一応)その自由すぎる感じが好きで、このあたりがあったから最後まで楽しめたみたいなところはある。5話(ペッツ回)は、そもそも自分が最初からペッツが一番好きだったので良かった。絶対ペッツかわいいし、重いし、あとヒジリーとモッさんが同じ中学というのは最初の方で言ってたから、まあ多分最後この二人(かなぶんとペッツ)なんだよねというのがあった。いやほんとペッツかわいいし絶対こいつ重いやつだなっていう確信がもう1話からあったんですよ。最高。照柿だぜ。なんか母親のあたりとか雑っぽいところはあったが……あれはなんかもうちょっとなんとかならんかったのか? 4話の茶番を減らしてこうなんとかならんかったのか? そしてあの残酷な茶番幻想シーン、良かったし、あと、普通とは逆の方法で物々交換を使ってきたのが良かった(つまり、ああいう構成だと、散々ペッツの習性として描かれてきた物々交換は、二人が小学生の頃に行われていて、その大切な思い出の品を二人は今でも持ってる、という話になると思うのだが、そうではなく、現在別れるときに行った、というのがそうきたかと思った)(で合ってるよね? なんか横断歩道のところでも髪留めを替えていたような気がするから若干自身がないのだが、階段のところでペッツが声をかけていたときにしていた髪留めはばってんのほうだったよね?)。で、5話ではターミナルコア相当をNOで遠くに飛ばして処理してしまうという対処が行われていて、これはフリクリのラストでアトムスクがやってマバセを救ったのと同じ手法である。だからここから先は未体験ゾーンでありオルタナの腕の見せ所というのになる(でもさ、ターミナルコア無くても手が空中から湧き出してアイロンするってずるくね?)。そのときになんとなくそれっぽく思わせぶりに語られる、人類をたくさんNOで火星に飛ばす作戦。まああのおっさんが立案して発言してる時点で絶対それ実現しないよなとバレてるわけだが、じゃあハル子は何するんだろうと思ったら、「叫べ! 十七歳!!」えそれだけ? そして茶番感満載でしがみつきながらこのレベルのエネルギーでは云々みたいなことを言うおっさん。もはや面白すぎて笑う状態。こういうアホみたいなことを大真面目に言うの好きなんですよね。フリクリでアマラオが「シンカーか!?」って言うところとか。好き。で、最後はオレンジ色がピンク色になって(?)火星には行かずに地球のすぐ近くに星を作ったってことなんですかね? このあたりはもう少し検討したいな……。まあでも別にハッピーエンドで終わる必要は無いからな、フリクリは。
さて、もう一つ考えることとして、このオルタナ世界は、フリクリ世界の何なのか? というのが当然ある。最初は、オルタナ世界は普通に人類が宇宙に行けるようになっているし(ナオ太は街からどこへも行けないと思っていたが、かなぶんは飛べないと思っている)、どうもアイロンが多数出現しているし、時代的にフリクリ世界よりも時間が経過しているように思われるから、フリクリ世界の何年後、あるいは何十年後なのではないかと思ったというか、そう思わせるようにできている。しかし、見ていくとそうも思えなくなってくるし、ハル子の最後のシーン(不在だったトレードマークであるベスパを蕎麦屋から徴発)を見ると、むしろ逆で、オルタナ世界からフリクリ世界へハル子は飛ばされたのではないかとすら思えてくる。でもそれも見え見えすぎる誘導だから、多分ちがうというか、どうでもいいんだろうな。
オルタナでのハル子は、どうやらフラタニティの本部とは連絡が途絶してしまっており、通信もできない(通信機は今回は猫ではなく犬のようだ)。登場時にベースもギターも持っていなかったし、アトムスクと繋がっていた手錠の残骸も付けていない(プログレのPVでは写ってるな……)。そもそもアトムスクの存在感は一切描写されない(大人の紋章は最後に出てきたけど。エキゾチック現象という名前になっていて、これはトップとの関係性でノリみたいな発言だから多分意味ないし……)。アトムスクに執着しているのであって地球のことなんてどうなっても知らんもん、という態度だったフリクリでのハル子に対して、オルタナでのハル子は詳細は語られないものの「なぜ地球にこだわるんだ」とまで言われるように特に明らかな理由もなく地球を守ろうとしている。このあたりはなんなんでしょうね。まあ特に何もないのかな。フリクリだし。
最後におそらくいちばん大切な点で、一番現時点でまだ消化できてなくて自分が語り得ないことが、友達について。フリクリでとことんやっていた大人の問題について、オルタナではそれを踏まえた上で友達なんですよね。ペッツ……。結局この点が一番オルタナというか、フリクリらしくない主題なので、でも僕は良かったと思います。友達との毎日が続く、続いてほしい、みたいな話なんですよね? 全然続いていないのにね。ただアタリマエのことしか起こらないと言いながらすごいことが起こり続けていたのと同じだ。なんかPV見たときとかWebのキャラ紹介見たときとか、え、友情の話なのか、とか思ったんですけど、まあこんがらがったもやっとした友達の話であり、うーんあと20回くらい見てからここは語りたいな。はやく円盤がほしいぞ。
あとはカンチシリーズが完成していたのが笑った。あとサエコって言って大丈夫だったのかわからないけど笑った。