Tesis sobre un homicidio(ある殺人に関するテーゼ)

 飛行機で見た。
 スペインとアルゼンチン合作の映画。向こうでは売れたらしい。元弁護士で今は大学講師をしているおっさんが主人公で、この役者の演技が渋い。大学で起きた殺人事件を追いかけるうち、旧友の息子で現在は自分の教え子の男を疑い始める、というサスペンス映画。

 狂気と妄想である。

 どう考えてもこの男が犯人なんだろうけれども、この主人公はちょっとその思考に取り憑かれ過ぎだし、大丈夫なのか、と思っていると、案の定破滅に向かっていく。そして最後の最後には、結局犯人もわからなくなってしまい、しかし主人公の妄想は画面に垂れ流され続ける。
 狂気を観測するものは往々にして自らも狂気に侵されていく。そして最後にそれは反転し、観測者が狂っていたから狂って見えた、ことになってしまう。

 妄執感が出た画面の作りと音響効果が面白かった。スペイン語は全くわからん(HolaとGraciasだけわかる)のだけれど、なかなか良い音をしている。

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