2021年のまとめ

※この記事はfanboxからの移設です

 まとめるぞ。

テキレボEX2参加『山の神さん解説版』(1月)

 厳密には前年12月から1月にかけて開催された(ということは制作したのは2020年だから今年の活動じゃない気もする)テキレボEX2に参加し、コピー本『山の神さん 解説版』を頒布しました。リンクはPDF版。

『山の神さん』は2019年に書いたSF短編で、神待ちアプリをつかった女の子がタイムリープして大正時代に飛んで旧制高校の男子学生とマッチングするという話ですが、それに注釈の形で自作解説を付したものです。

 小説においてこの部分はこういう意図を持って書いてるみたいな情報ってすごく面白いと思っていて、たまに誰かがそれを解説していたりするとめちゃくちゃ嬉しくなってしまいます。この一文はこういう意図だ、みたいなミクロな話。でもあんまり世の中でそういうことを説明してくれる人がいない。多くの自作解説はもっとふわっとした「こういう思いを込めて書きました」みたいな話で、それ別に聞いてもそんなに面白くないと思ってしまう。その込めた思いを伝えるためにどういう手段を選んだか、みたいな技術的な話のほうが自分は気になります。ということで隗より始めてみた実験でした。

『先輩はなぜ私のジャージで跳べるのか?』(1月)

 日常の謎で三角関係百合を標榜している連作短編『吸血鬼はなぜ日常の謎を探し求めてしまうのか』の第三話として書いた短編です。

 短めの話で、謎もまあ謎っていうかあるある小ネタくらいでしたが、主人公を崇拝している後輩女子・霧島の過去回ということで楽しい話が出来たかなと思ってます。

島アンソロジー参加『替魂島』(6月)

 島アンソロジーという企画に参加した掌編です。流されたものが魂を入れ替えたかのように罪を洗い流されて戻ってくる流刑島について。なんちゃってホラーというか、不思議な話を意図しています。メイキング記事も書いてみたりしたのですが、人に意見をもらって直したりとかで良い経験が出来ました。

よふかし百合アンソロジー参加『終夜活動』(7月)

 ストレンジ・フィクションズさんのよふかし百合アンソロジー『夜になっても遊びつづけろ』に参加した短編です。編集作業とかの期間があるので実際には『替魂島』よりも『終夜活動』のほうが書いたのは先です。

『終夜活動』は『CONTROL』《サザーン・リーチ》三部作のニューウィアード系に影響を受けつつ、音声作品、というかバイノーラル録音のSF性(人間の聴覚、というか耳で聞き取った音声信号を脳で処理するときの特性、両耳から入ってくる音の差分から音源の方角や距離を推定することが出来る能力、を逆用した音声信号を作ることで、イヤホンで聴いている=実際には物理的には両耳の入り口で直接鳴っている音であるにもかかわらず、音源が接近してきたりする動きを知覚させる音声……いやこれSFでしょ)に着目した短編です。

 一応これもメイキング記事は書いた。

 なお、アンソロジー全体の感想とかいただいた感想のまとめとかはこちら

『文体の舵をとれ』練習問題(8月~)

 まあこれは練習問題であって作品ではないですが、それでも練習するということは良いですよね。ありがたい。

 タグでまとめてあります。→引っ越し先

雨月物語SF合同『雨は満ち月降り落つる夜』&リフロー型電子書籍化不可能小説合同誌『紙魚はまだ死なない』復刊(11月)

 私が過去に企画したアンソロジー2冊について、AmazonKDPペーパーバックを利用した復刊を実施しました。

『雨は満ち月降り落つる夜』は、2019年に発行した、近世日本を代表する怪異小説『雨月物語』の9編をSF的視点から再解釈する小説合同誌です。たとえば自分は、ヒーロー・西行法師と怨霊・崇徳天皇の弔いレスバトル『白峯』を、サイバーセキュリティパンクアレンジした作品を書いています。

『紙魚はまだ死なない』は、2020年に発行した、リフロー型電子書籍(表示するデバイスの画面サイズや文字サイズ設定に合わせて流動的なレイアウトで表示する電子書籍)にすることが絶対にできないオリジナル小説6編を集めた合同誌です。

 なお、『紙魚はまだ死なない』の復刊を祝して掌編を書き下ろしました。

群れSF『マーズ・エクリプス』(11月)

 参加している小説同人・ねじれ双角錐群の群れSFアンソロジー『無花果の断面』で書いた短編。毎年ねじれ双角錐群で一作は書かせてもらっているのが本当にありがたいことですね。ありがとう。昨年の瞬殺を反省して大量に刷ったらしいのでまだBOOTH通販の在庫あります! 年末は牛乳を飲んで群れSFを読もう!

『マーズ・エクリプス』は宇宙移民分散型歴史記述コンピューティングSFです。ブロックチェーンみたいな分散型歴史書に何もかもが書き込まれている世界で、火星の開発区の管理官を務めている桜井あかりが、地球と火星との間の光速の限界を超える無遅延通信を開通させた瞬間、ネットワーク上の歴史が書き換わってしまい死んだことにされてしまう……というところから始まるお話です。メイキングそのうち書きます。

総括

 短編とか掌編とかの区切りは自分基準としたときに、まあかなり広い意味で作品ですと言えるラインを勝手にとって言えば、今年は短編3本、掌編2本、あと練習問題をそれなり本、書いて公開したことになります。まあまあ良いのではないか。出来ればもう1本短編(『吸血鬼』の)を書き終えたかった、というかいやまだ何日かあるから書けという話であり、はい、年末休み頑張りたいです。昨年末の時点では長編を書きたいとか考えていたんですが、良い意味で短編・掌編を書く機会に恵まれたのでそっちに気持ちがいってしまいました。まあこれは良い意味なので良かったかなと思っていて、来年またチャレンジしてみようかなというふうに思っています。

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